2024年08月07日
第4回FD・SDシンポジウムで合理的配慮について理解を深めました
本学FD委員会および職員研修委員会が主催する第4回FD・SDシンポジウムが7月27日に世田谷キャンパス34号館B301教室とZoomによるハイブリット型で開催され、教職員258人(対面67人、オンライン191人)が参加しました。
テーマは「障がい学生に対する合理的配慮の推進に向けて―障がい学生支援室の取り組みから―」。改正障害者差別解消法の施行により、4月から合理的配慮が義務化されたことを受けて、本学でも障がい学生支援室を設置し体制を強化したことから、全教職員が合理的配慮を正しく理解することを目的として開催しました。
講演に先立ち、FD委員会副委員長で経営学部の池元有一教授、佐藤圭一学長によるあいさつがあり、池元教授は「合理的配慮提供の義務化を受け、より一層の協力体制が求められる。教職員の現場の声から課題共有できれば幸い」と趣旨説明を行い、佐藤学長は「すべての教職員が障がい学生から相談を受ける可能性があるとの意識をもち、合理的配慮への理解を深めてほしい」と述べました。
第1部では、「令和6年度から始まった学生支援の現状と課題」として、まず障がい学生支援に関する学生支援推進ワーキング・グループの座長である法学部の宍倉悠太准教授より、障がい学生支援室設置に至る背景と経緯について説明がありました。次に、4月から障がい学生支援室に勤務する池田仁障がい学生支援コーディネーターがこれまでの取り組みと課題を報告し、最後に放送大学教養学部教養学科教授の川島聡氏が「禁止される差別とは何か」と題して、障害者差別解消法の禁止する2つの差別「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮不提供」について、そしてその関係性について講演しました。
第2部では、宍倉准教授をコーディネーターに、事前質問と第1部を受けて参加者から出た質問に対して、川島氏と池田コーディネーターが回答する形で進められました。
参加者からは自身の経験も交えたさまざまな質問が出されました。遅刻や欠席の取り扱いに関する質問に川島教授は、必要性があるかを考えることが重要として、合理的配慮の7つの要素「個々のニーズ」「非過重負担」「社会的障壁の除去」「意向尊重」「本来業務付随」「機会平等」「本質変更不可」を一つずつチェックしていくことを提案。遅刻・欠席については学ぶ機会が減っているともいえるため、合理的理由があるかどうかを判断し、本質的な変更を伴わない範囲での調整を行うよう助言しました。川島教授は「個々のニーズや状況が異なるため、合理的配慮を一般化することはできない。建設的対話は効率とは真逆の行為と考え、学生の立場に立ち、工夫できることを寄り添って探していく姿勢が大切。また、本人、教職員、第三者が理にかなっていると思う客観的な理由を準備しておくこと」と話しました。
最後に、職員研修委員会委員長で体育学部事務課の大野敦司課長が総評を述べ、FD委員会委員長で法学部教授の辰野文理副学長があいさつし、閉会しました。
- 宍倉准教授
- 池田コーディネーター
- 放送大学教授の川島氏
- 第2部質疑応答の様子